こんにちは。機械を実際に見て知るにはもってこいの展示会!!しかしいざ会場へ行くと人が多くて興味のない話ばかり聞いて疲れてしまった、思っていた情報がなかったということがあると思います。
そこで今回は、効率の良い展示会の周り方、情報収集のコツ、大阪のおすすめ機械展示会を紹介したいと思います。特に機械商社の営業として業界トレンドを掴むためにどのように回れば良いか、どの展示会でどのような情報が得られるかを経験をもとに紹介します!!!
展示会の周り方
大きな展示会ほどなかなか全ての展示を回ることは難しく、時間がなくなるか疲れてしまいます。そこで効率的に回るためにおすすめな周り方を紹介します。
目的を明確にしていく
事前に展示会に行く目的を具体的に明確にしておきましょう。当たり前ですが最も大切なことになります。例えば、「工場での物流自動化の他社事例を知る」ことが目的であれば、そのようなことを展示しているブースに行き、説明員にこちらの目的を伝えることでネットなどで載せられない事例を教えてくれます。また会場を歩いているだけでも、事例の展示に目が止まるようになります。
逆に目的を頭に入れておかなければ、説明員の製品に関する説明を聞くだけになってしまい事例の比較ができません。
また人が集まっているブースなどに目が引かれ、知らないうちに時間がなくなってしまいます。
具体的に質問する
展示ブースでは企業毎の最新情報やトレンドに沿った展示がメインになります。ざっと全体を見て回るとトレンドは掴めますが、薄い情報で自社の課題に当てはまるかはわかりません。説明員に自社の具体的な課題を伝えて、解決策を相談することで深く理解できます。既述した目的を明確にすることと同じく、具体的な課題を自分でも把握しておくことで質問もしやすくなります。
機械商社・営業の場合は、日々の引合の中で解決策がわかっていないものをまとめておき、展示会で聞いて回るようにすることで具体的な提案方法を学ぶことができます。
複数社比較
類似製品を出している企業を複数社一度に比較できることも展示会の大きなメリットです。実際の製品をみて、話を聞くことで比較することができ、それぞれの特徴を把握できます。通常は2社それぞれ見学に行ったりしなければなりません。それまで知らなくても展示会を回ることで探していたメーカーの競合製品にも出会うことができます。
比較することで各社の特徴を知ることができ、自社にとって最適なものを選定できます。機械を購入する時の稟議申請時にも比較資料があると説明しやすいです。
全ての列を歩いて回ってみる
展示会の魅力の一つが、今まで知らなかった商品・メーカーを知ることができることです。小さなブースでも意外に探していたものや困っていたことの解決策を教えてくれる人に出会うことができます。また人が集まっていないブースほど、ゆっくり話をしやすいです。そのようなブースを見逃すことがないよう、とりあえず全ての列を歩いてみるのも手です。
まず会場マップを見ながら、全体を歩いて回って、深く聞きたいところをまとめるのも良いです!!
実物でしかわからない部分を見る
展示会で機械を見る場合、HPやカタログでは見れないような部分を見ておくこともおすすめです。例えば機械の後ろ側はメンテナンスがしやすい設計になっているか、実際の操作や段取り替えにおいてもしやすいかなど、を見ておくことをおすすめします。普段の営業担当が説明するだけではわからないことも理解できるため、実物をじっくりみて実際自社に置いた場合を想像しながら展示物を確認する必要があります。
開催初日や午前か夕方が人が少ない
当たり前ですが、開催初日(水〜金の開催であれば水曜など)が人が少なく、説明員も疲れていません。午前開始直後(10時〜11時半ぐらい)や16時以降などはだいぶ人が少ないため、みて回りやすいです。
混んでいる日や時間帯は回るだけでも疲れが溜まる上、見たいメーカーの説明員も空いてないことも多いです。
目的別 関西のおすすめ展示会
設計から加工、製造、生産管理までものづくり全般 → 機械要素技術展 金型関係、プレス関係 → インターモールド ロボットの自動化、最新情報 → ロボットワールド/ロボット展 物流関係、搬送の自動化 → 物流展 IoT製品を構築する機器、工場のIoT化 → ET & IoT West 2021、JAPAN IT week 樹脂材料・製品、樹脂化 → プラスチックジャパン 神戸のものづくり・企業 → 神戸ものづくり中小企業商談会 工作機械・金属加工の機械をみたい → どてらい市、グランドフェア
たくさん開かれている展示会ですが、それぞれ特徴があります!!
では各展示会の特徴や実際に見た感想を説明します。
各展示会の特徴と感想
機械要素技術展
毎年東京、大阪、名古屋の全国3拠点で開かれる展示会です。地域で定期的に開催される展示会としては最大級です。
出展内容:製造業特に機材・機構部品。部品の加工技術、プレスなど成形技術、表面処理、設計技術など様々な企業が出展。毎度同時開催される展示会と合わせて、部品関係、加工技術、設計関係(CAM,CAEなど)、IoTシステム、3D関係、計測関係などものづくりを全般的に知ることができる。
開催場所:インテックス大阪
2021年:10月に開催。関西 ものづくり ワールド、設計・製造ソリューション展、ものづくりAI/IoT展、次世代 3Dプリンタ展、計測・検査・センサ展を同時開催。
実際に参加した感想:
コロナ禍の2020年を除いて毎年見に行ってます。モーターやガイドなど機械に使われる機器類や、それらの部品を加工する技術を見ることができます。とにかく出展数が多く、様々な企業の加工技術や表面処理技術などを見ること、知ることができます。工作機械は展示が少ないですが、バリ取り機や洗浄機など工作機械の後工程で使用される機械の展示も多いです。またIoTや3D造形技術などものづくりに関わる最新の情報を得ることもできます。
機械商社としては、顧客になりうる企業のそれらの技術を知ることができること、バリ取り機や洗浄機など後工程で今まで知らなかったメーカーの機械を知ることができることを魅力に感じています。
昨今注目度がましている金属3Dプリンタでどこまで造形ができるかなどを実際の造形物を見ながら話を聞くことでネットでは得られない最新の技術を理解することもできました。
インターモールド
東京と大阪、名古屋で開催(東京開催と大阪・名古屋での開催が大体交互)される金型・プレス加工展です。金型関係の加工設備を見ることができる展示会としてはJIMTOFの次に大規模な展示会です。
展示内容:金型加工用のマシニングセンタ、研削盤、ワイヤーカット加工機などがメイン。関西で工作機械(特にマシニングセンタ)を見れる一番大きな展示会。プレスの後工程の溶接機などの展示もあり。
開催場所:インテックス大阪
2021年:4月に東京で開催。その後出展内容をオンラインで見れるインターモールドオンラインを開催。オンラインでの追加セミナー等も開催。
実際に参加した感想:
金型加工が中心にはなりますが、関西でマシニングセンタや研削盤、レーザー加工機などいわゆる加工機が多く出展されて定期的に開催される最も大きい展示会だと思います。どのようなメーカーがあり、どのような最新技術があるのかを詳しく知ることができます。加工機の出展数も多く多数のメーカーの機械を一度に見て比較できます。研削盤などもカタログではわからない各社の力を入れている部分の違いを知ることができます。
プレスに関しては様々な修理や改造、オーバーホールメーカーも出展しているためプレス加工の様々な課題を相談、解決できます。
プレス加工、切削加工、板金加工など一通り金属加工を行う機械のメーカーが出展しているため初心者の勉強にも最適です!
ロボットワールド/ロボット展
ロボットに関する最新情報の展示会です。今まさに技術革新が進んでいる分野ですので移り変わりが激しく、展示会の名前もよく変わります。ただ毎年最低1〜2回は何かしら産業用・民間用ロボットに関する展示会が開催されます。2021年は横浜と大阪で「ロボットワールド」が開催されました。
展示内容:産業用・民間用のロボットが中心。産業用のロボットはロボットメーカー本体は出展が少ないが、様々な地元SIerや、ロボットに関連する周辺装置や機器類、システム類の出展が多いい。民間用のロボットの出展も多く、介護や接客用が多い。 開催場所:インテックス大阪 2021年:8月に開催
実際に参加した感想:
緊急事態宣言下ということもあり、出展を取りやめている企業も数社ありました。全体の規模としても機械関係の展示会としては小規模でした。しかしその分、出展企業の方と深く話をすることもできました。
産業用ロボットとしては、人がいる環境でも使用できる協働ロボットを使用した出展がメインでした。その中でも多関節ロボットや無人搬送ロボットなどが目立っていました。
物流展
2021年でまだ第2回ではありますが、昨今注目されている物流関係の展示会です。
展示内容:物流システム、倉庫管理システム、無人搬送車、無人搬送ロボットなど倉庫、工場、店舗等での物流関係全般の展示会。 開催場所:インテックス大阪 2021年:7月に開催
実際に参加した感想:
まだまだ工場での物流自動化の事例は少ない(倉庫がメイン)が、最新の搬送自動化システムを知ることができました。中でも特に人がいる環境で使用できる無人搬送ロボットの展示が目立っていました。ガイドレスで搬送でき、タブレットもついており様々な指示・管理が可能なため工場でも使用されていくと思われます。機械だけでなく、物流(在庫・出入庫)管理システムの展示も多くありました。
無人搬送ロボットは昨今最注目のロボットです!!中国製も含めて次々に新たな技術が開発されています。
ET & IoT West 2021
DX、IoTのエッジテクノロジーに関する展示会です。ものづくりメインではありませんが、IT、IoT関連の展示会は東京が多く、珍しく関西で開かれているため紹介します。
展示内容:DXやIoTに関するシステムや機器類の展示会。IoT関係のデバイスなども多く出展。それぞれのブース自体は小さいが、通常の製造業の展示会とは違う出展が見れる。 開催場所:グランフロント大阪 2021年:7月に開催
実際に参加した感想:
先述しましたが関西で数少ないDX、IoT関連のある程度の規模のある展示会になります。製品のIoT化を実現するエッジデバイスや組み込みソフトウェアなどのメーカーが多数出展していました。工場などの生産状況見える化システムなども少し展示がありました。どちらかと言うとIoT製品を作りたい設計の方向けと思いました。
JAPAN IT week 関西
東京を中心に開催されてきたIT関連の大規模展示会です。たまに関西でも開催されており、関西でもIT関連では最大の展示会です。ITの展示会のため、製造業やものづくりに関してだけではありませんが、「IoT/M2M展」も同時開催されており工場向けIoTシステム・機器などの出展もあります。
展示内容:IT関連専門展。IT関係の機器類、製造業以外も含めた様々なシステムの紹介。同時開催されるIoT/5Gソリューション展では、工場のIoTシステムや製造業の製品をIoT化するような機器も展示されている。 開催場所:インテックス大阪 2021年:1月に開催(22年も1月に開催予定)
実際に参加した感想:
ITの展示会なので工場やものづくり関係の出展は少なかったですが、DX、IoT関連の最新技術も知ることができ個人的には非常に勉強になりました。製造業や工場のDX化が進まないとはよく言われていますが、IT企業・サービス目線での今までの事例などを知ることができ知見が広がりました。製品のIoT化を考える設計の方や、自社のDX化を考える経営者にとっては参考になるのではないかと思います。
IT技術はどの業界でも必要な上、日本では製造業の大手企業も多いため、製造業向けに開発されているITシステムも多いです!!
プラスチックジャパン
樹脂製品や材料や表面処理、それらの成形機などの展示会です。射出成形機などの樹脂成形機関連の出展はほぼありませんが、材料、成形技術などの情報収集ができます。
展示内容:樹脂全般に関する展示会。様々な高機能樹脂材料や成形技術(品)、周辺装置、金型のメンテナンス機器、フィルム・ラップ機器類など様々な工業用樹脂、それらの装置を見ることができる。コーティング・レーザーなど表面処理に関する展示会も同時開催。
開催場所:インテックス大阪
2021年:7月に開催
実際に参加した感想:
樹脂成形品や材料に関しての情報収集ができました。今後自動車業界で電動化に伴い金属やその他樹脂から代替を検討されている材料なども知ることができ参考になりました。また樹脂製品だけでなく最新のコーティングやレーザー加工法なども同時開催の展示会で見ることができました。しかし樹脂の射出成形機やその他機械関係を見ることを目的とするのであれば、3年に一度東京で開かれる国際プラスチック展(IPF)か名古屋プラスチック工業展などに行くほうが良いと思われます。(プラスチックジャパンでは樹脂成形機の出展はない。)
樹脂成形に関しては、機械の技術よりも材料の技術の革新が進んでいるイメージです。それらの最新技術も紹介されています。
神戸ものづくり中小企業商談会
神戸市主催のものづくり中小企業のマッチングを目的とした展示会です。2020年は同時にAI,IoT,ロボット展も開催されました。
展示内容:生産管理システムやロボットシステム、IoTシステムなど特に神戸市が重点的に取り組んでいる製造業のIT化に関わる企業の出展が多い。
開催場所:神戸サンボーホール
2021年:12月開催予定
実際に参加した感想:
兵庫県の中小企業マッチングを目的とした展示会。神戸市は特にIoT化、ロボット化、AI活用に以前から力を入れており、様々な補助金やサポート(マッチング)などを行っています。補助金採択企業の出展なども多く、開催している神戸市と出展企業の連携が感じられます。ブース自体は各社そこまで大きくはありませんが、地元企業であることや参加者がブースに立ち寄りやすいため話をしやすく、ビジネスに発展しやすいのではないかと思います。
私も1社この展示会で繋がった企業とやり取りをしております。
どてらい市
産業資材・機械の総合商社である(株)山善が事務局となり様々な地域で開催される展示会。即売が可能な商品を多く展示しており、参加者も気に入ればその場で購入できる。
展示内容:(株)山善が主催の展示会。地元の企業の出展が多く、即売品を多く展示。様々な産業機器類を展示、販売している。工作機械メーカーも一通り出展しており、関西で毎年開催している展示会では、一番総合的に工作機械を見ることができる展示会。 開催場所:インテックス大阪 2021年:開催中止
実際に参加した感想:
どてらい市自体は様々な地域毎に開催されていますが、”ザ大阪の展示会”といった雰囲気です。工作機械関係だけでなく、住宅資材、産業資材、機器類の各メーカーが会場にびっしり並び、展示品特別価格を出し合って呼び込みをしています。特に住宅・産業資材関係の方へ行くと圧倒されます。
またJIMTOF(東京)やメカトロテック(名古屋)がない関西では、最も工作機機を総合的に見れる展示会ではないかと思います(インターモールドは金型加工機がメイン)。機械の総合商社である山善が開催しているだけあって様々な機械メーカーが出展しており、各メーカーの最新機種の情報収集や比較をすることができます。
その場で特別価格で販売していることもあり、出展者の熱気がすごいです!!
グランドフェア
同じく産業資材・機械関係の総合商社であるユアサ商事(株)が主催する展示会です。毎年6カ所で行われていましたが、2020年は開催中止となり、21年は関西のみ中止となっています。
展示内容:様々な工作機械を展示。主要な加工機メーカーから周辺機器、消耗品関係まで様々な企業が出展。各企業1~2台の出展のためブースも小さく、各企業とも話がしやすい。2020年はオンラインでの開催。 開催場所:インテックス大阪や鶴見緑地公園など。 2021年:はリアルとオンラインでの開催予定だったが、関西ではリアル展示会は中止。
実際に参加した感想:
どてらい市と同じく機械関係の総合商社であるユアサ商事が開催するため、多数のメーカーが出展しています。また各社1~2台ほどの出展のため、主に最新のコア技術を1つか2つ紹介する形になります。JIMTOF程人も多くなく地元の営業担当もいるため話をしやすいのが特徴です。コロナ禍以降はオンライン(バーチャル)での開催もしており、先進的な取り組みが面白いと思います。
まとめ
今回は関西で開かれる機械関係のおすすめの展示会を紹介しました。JIMTOFのような超大型の国際展示会が少ない関西ではテーマ毎に見に行く必要があります。その反面、話をしやすく、課題を解決する商品やサービス、人を探しやすいのも事実です。ぜひ目的に合わせて、展示会場に足を運んでみてはいかがでしょうか。