早いもので2022年も終えようとしていますね。せっかくの冬休みゆっくり過ごす中で少しだけ時間をとって今年1年の振り返りや来年の目標を立ててみてはいかがでしょうか??特に入社1〜3年目の若い時期は仕事だけでなく自分の人生やキャリアを考える上で、振り返りと目標設定することをおすすめします。しかしやり方がわからない人も多く、先日も3年目の後輩から目標設定の仕方の相談を受けました。そこで私が実践しているおすすめの振り返りと目標設定方法を紹介します。より具体的に考えられるようここでは「商社・営業の1〜3年目」の方を前提としています。
今年の振り返り
まずは一年間の振り返りを行ってみましょう。
定量的振り返り
定量的とは”数値・数量で表せるさま”という意味です。やはりまず第一に数値で振り返ってみましょう。営業ならノルマに対して結果はどうだったかを振り返ります。日々意識しているかもしれませんが改めて振り返ることで、感覚でできていると思っていたことができていなかったり、逆の場合もあります。
営業として最終的にノルマを達成できたかだけでなく、ノルマ達成のために決めたKPI(行動指標)は達成できたかを振り返ります。例えば、訪問件数や見積件数、見積金額、引合数、受注率などです。特に KPIを決めていない場合も、ノルマ達成につながる行動の数値を振り返ります。
私はもう営業9年目にはなるので、既存顧客が多かったりと若手時代とは違う部分もありますが、下記のようなことを振り返ります。厳密には、毎月どのユーザーに訪問したか、どのような引合があったかをリストに記載しているのでその数値を再度年間でまとめます。
1.数値で表せられる部分を洗い出す。
①ノルマ 受注金額 達成率 受注案件 ②今年の主な引合 ③引合の中で結論(受注、失注の判断)が出たもの ④ターゲット顧客とのコンタクト数 ⑤ターゲット顧客からの引合数 ⑥訪問数
2. 数値を洗い出した後、できた場合もできなかった場合も”なぜ”を考える。
①ノルマ 受注金額 達成率 受注案件 → ノルマが達成できた理由、できなかった理由を考える。受注できた理由を考える。 ②今年の主な引合 ③引合の中で結論(受注、失注の判断)が出たもの → 失注理由や結論が出なかった(出ているかわからない)理由を考える。特に主な引合であげたものやノルマ達成可否に直結した案件を深堀する。 ④ターゲット顧客とのコンタクト数 → 特にコンタクトできていないところはなぜできていないかを考える。 ⑤ターゲット顧客からの引合数 → 特に引合がもらえていないところはなぜできていないかを考える。 ⑥訪問数 → 増えたかどうか。なぜかを考える。
深堀の仕方
原因を考える時などは、マインドマップのように紐付けて深堀りして考えていくことで、本当の理由が見えてきます。深堀する際には特に以下3点をおすすめします。
1. 幅広く、抜け漏れがないように理由を考える。明確に思い当たる理由があった場合でも、一旦ゼロから全ての可能性を考えてみる。
2. どんなことも正直に振り返る。例えば、訪問数が少ない→サボっているから と正直に書くと"なぜサボっているのか"、"なぜサボってしまうのか"を考えるので、より真意に迫ることができます。できていないことは問題と思わずに正直に振り返ることが大切です。
よく人に話すことで見えていない部分が出てくると言いますが、人に話すとどうしてもちょっと良いようにねじ曲げて話してしまうので、正直に自分と向き合うことも大切だと思います。
3. 手書きでマインドマップを作成する。思い通りに線や絵をかけて、文字も工夫できるため、A4の横向きに手書きすることがおすすめです。
昔作成した深堀シートの一例です。
3. 次の行動を考える
原因を深堀して細かい部分まで理由が明らかになったら、自分でコントロールできる(た)部分か、そうでない部分かを分けて考えます。そうでない部分はある程度仕方ないところもあるので、自分でコントロールできる部分の改善策を考えます。改善策を考える際には、来年に生かせるよう具体的な行動まで明記することが重要です。
例えば、失注した理由が、案件が後ろ倒しになった、競合にしかない○○がどうしても必要となった、などであればある程度仕方がないと思います。しかし、情報がとれていなく気づいたら競合の○○の技術が気に入ってて失注したが、本来は自社にもそのような技術はあった。などであれば、自分がコントロールできる部分(訪問やその他コンタクトによる情報収集や提案)が原因でので、改善の余地があります。このように深堀りしていき、”では来年は情報を取得するため踏み込んだ質問をする”、”見積提出後1週間以内にフォローの電話や訪問を入れる”などと具体的な改善行動を考えると来年につなげることができます。
営業の振り返りとは違いますが、納期遅延の案件に関して深堀りした際のシートです。このように詳細まで深堀して考えることで、自分がコントロールできた部分とできなかった部分が明確になり、次行うべき行動や学びをより明確にすることができます。
営業以外の場合でも、振り返りと次の目標はできる限り数値で表す必要があると思います。行動に移した数などでもかまいません。数値にすることで何ができて、何ができていないかが明確になるので改善策を立てることができます。
定性的振り返り
次に数値で表せないようなことも振り返ります。これはもう抽象的で感覚でも良いので、“今年できたこと”、”できなかったこと”をあげてみるとやりやすいです。これも正直に抜け漏れなく、特にできたことはどんな小さなことでも構いませんので挙げてみます。例えば、”○○を勉強した”、”社内の○○さんと仲良くなれた”などでもいいと思います。少しでも自分が行った行動を見える化することで自信にも繋がります。
特にやりたいと思って行動に移せなかったことも明確にしておきたいです。時間がくればやりたいと思っていることは大抵やらないままになってしまいます。また本当にやりたい、やらなければならないことであれば既に実施しているはずとも思います。やりたくてできなかったことは、本当にやりたいことなのか、それとももっと他に優先順位が高いものがあったのかなどを振りかって考えることで、自分が本当は何を大切にしているかという価値観を把握することができます。この価値観を把握することが、後術する人生の目標を考えることに非常に重要になります。そのため仕事の業務に直結することではない、数値で表すことができない定性的なことも細かく振り返るべきだと思います。
プライベートも振り返る
プライベートの振り返りも重要です。入社1~3年目は新しい人との出会いも多く、学生時代の友人との付き合いもまだ深い段階です。友人の誰々とどこどこに行った、月2万円貯金を継続したなどプライベートなことも振り返ることで自分を理解することに繋がります。
また仕事や会社と関係ないことを振り返って自信にしておくことで心の余裕を保つことができます。会社でどうしても嫌なことがあった場合でも、趣味に没頭して忘れることができたり、関係ない友人に愚痴を聞いてもらったりすることで、発散できます。そういう場がなければ思い詰めてしまうため、プライベートでできたこと、よかったことを振り返り自分にはそっち(プライベートな場や人)があると思えることが大切です。
来年の目標
人生の目標(長期目標)
せっかく年末年始でゆっくり考える時間ですので来年の目標を立てる前に、まず何よりも大切な人生の目標を考えなおすべきだと思います。既に立てている人は、人生の目標にあった行動が取れたかを今一度振り返りましょう。まだあまりない人は、一度考えるきっかけにしてみてはどうかと思います。
そもそも人生で何を達成したいのか、自分は何を大切に生きていきたいのかという自分の価値観と、将来どのような価値・スキルを持ちたいのかという自分のキャリアプランを考える必要があります。これがなければ、ただただ毎日、毎年を流れのままに過ごすだけになってしまいます。流れのまま過ごしていると転職や自分のやりたかった仕事、大切な人との時間などのチャンスを逃してしまいます。
人生の目標の考え方
1. 今年一年で楽しかった・やりがいを感じた・うれしかったと思うことを振り返る。 2. 自分の今までの人生で楽しかった・やりがいを感じた・うれしかったと思うことを振り返る。 3. 逆に不快に思った、悔しかったと感じたことを振り返る。 4. 自分が憧れる人を挙げてみる。その人のどの部分に憧れるのかを考えてみる。 5. 1~4によって自分が何を大切にしているのか、どのような時に達成感を感じるのかを言語化する。 6. 5を踏まえて将来やりたいことを挙げてみる。その際に実現可能性は気にしない。 7. 将来やりたいことが見つからなければ、やりたくないことを挙げてみて消去法で考えてみる。 8. これらによって人生の目標をイメージしてみる。実現可能性はなくて良いが、できる限り具体的にイメージしてみる。 9. 8.の目標を何歳の時に達成するかを決めて、それまでにどのような実績や能力・経験が必要かを考える。 10. それを明記していく。横向きの紙に、左下に現場、右上に人生の目標のゴールをかく。それを→で結び、将来どのタイミング9.が必要かをそれぞれ明記していく。そうすることで人生の目標(長期目標)とそれぞれターニングポイントとなる年の目標(中期目標)を明確にできる。
10.のシートの例
このようなステップで考えることにより、人生の目標を立てることができます。大切ことは自分で考えてみることで、目標が将来変わっても何も問題はありません。新卒で入社してからは、新しいことや新しい人間関係でバタバタと過ぎてしまい、我を忘れてしまいます。そのまま日々を過ごしてしまうのではなく、自分に関して考えなおすことで自分が何を大切にしてきたのかを振り返ってみることをお勧めします。
来年の目標
人生の目標を考えた上で来年の目標を考えます。人生の目標につながること(緊急ではないが重要なこと)と、ノルマや会社での自分の役割に基づいたもの(緊急で重要なこと)の両方を考える必要があります。逆にやらなければならないことでも重要でないことは、緊急であろうとなかろうと目標に組み込まなくて構いません。
私の場合は、来年の目標に関しては、一度紙に漏れなく記載します。定量的なこと、定性的なこと、そのための行動、逆に減らすこと・辞めることを記載します。その後は、Excelで目標シートを作成します。Excelで作成するのは、3ヶ月ごとや毎月の目標とできたこと、できなかったことを時系列で追加掲載できるためです。
定量的目標
目標は数値で細分化して具体的に考えるべきです。例えば、年間ノルマがいくらか、そのためにはどのくらいの受注頻度、受注金額が必要かなど細分化して考える必要があります。機械商社のようなある程度受注までの期間が長い製品に関しては、既に上期分ぐらいは受注確度を把握できると思いますので、まずは現実的にノルマが達成できそうか考えてみて、足りない部分は何円規模の案件が何件あれば達成できるか、それを取得するためにはどのようなユーザーにどうアプローチするかまで考えます。ノルマ達成のためのKPIを細分化することで、より短期の目標に具体的に落とし込みができ、実際の行動に繋げることができます。
定性的目標
社内での役割や自分がやりたいことなどに合わせて定性的目標も考える必要があります。特に新しくチャレンジしたいこと、勉強したいことなどを明確に考えておくと良いと思います。定性的なことも、細分化して、具体的にどのような行動を起こすかを明確にします。
3ヶ月の目標
それら年間の目標を踏まえて、3ヶ月ごとの目標に落とし込んでいきます。例えばノルマであれば、初めの3ヶ月でどのくらい受注しなければならないか、どの案件を受注する(どの案件が結論が出そう)か、そのためにどのような行動・ステップを取る必要があるかを明確にします。
目標が何個もある場合は、優先順位を明確にして注力するものを決めます。年間で4つの目標がある場合でも、まず初めの3ヶ月で2つに取り組んで注力すべきなのか、それとも4つとも地道に行動する必要があるのかなどを明確にするためにも3ヶ月ごとの目標が重要です。この3ヶ月ごとの目標は、年間で見れば中期目標になるため、特に年間の目標とずれていないかを意識する必要があります。3ヶ月ごとに振り返ることで年間目標に対して自分が今どの位置にいるのか、方向はあっているのかを明確にすることができます。
1ヶ月の目標
より具体的な行動にするために3ヶ月の目標を1ヶ月の目標に落とし込んでいきます。基本的には3ヶ月の目標を達成するためにはどうすべきかを明確にしていきます。こちらは普段からすぐに見れるようにしておき、実行するとペンなどでチェックして消すことで達成感を感じやすいのでおすすめです。また1ヶ月ごとに振り返りを行い、できたこと、できなかったこととその理由、来月への改善策をあげることを毎月繰り返します。
いかがでしょうか。このように考えておくことで、毎年の仕事をより自分のキャリアアップに、毎日の時間をより自分の人生のために利用することができます。入社してから3年目まではとにかく必死で走っているかと思いますが、一度自分を見つめ直すきっかけになれれば幸いです。