価格だけではない!トラブル対応も考慮した失敗しない工作機械メーカーの選び方

機械/メーカー解説
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 こんにちは。工作機械や産業機械を購入する際、高額投資となるためメーカーの選定はどうしても慎重になると思います。正直初期の見積価格やネームバリューで決定している例も多く見てきましたが、「良いと思ったけれど対応が悪く二度と買わない」、「見た目はいいが、使いづらい、メンテしにくい」と言った声もよく聞きます。そこで今回は機械商社での経験を活かして、対応面や納入後のトラブルも考慮して、どのように工作機械メーカーを選定すればよいのかを解説したいと思います。

この記事で得られる情報
・工作機械の選定基準を知ることができる。
・機械を購入後、どのような場面で困ることがあるかを知ることができる。
・機械購入時に考慮しておくべきことがわかる。
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工作機械メーカーの選定基準

 では早速、価格だけではない機械メーカーの選定基準を紹介します。

機械仕様
1. 要求仕様は満たしているか。
2. 専用オプションへの対応が柔軟か
3. 独自技術があるか
4. 実績があるか
5. 操作性に問題はないか

メンテナンス・サービス体制
6. メーカー側サービス体制はどうか。(拠点の場所、人数、時間、在庫の有無、別会社ではないか)
7. 機械のメンテ性はどうか。(部品の入手法、寄り付き性・メンテしやすさ、点検表)

営業体制
8. メーカーの営業体制はどうか(提案、レスポンス、サービスと同じ人か、人を動かせるか)
9. ユーザーと購入元との関係性はどうか(ユーザーとの取引量、メーカーとの取引量、取引分布)

以上の9点になります。なぜ対応面を重要と考えているかを述べてから、それぞれ詳しく紹介していきます。

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機械商社だからこそ対応面の重要性がわかる

 ユーザーと直接やり取りする機械商社の営業は、基本的に納入した機械の窓口になります。修理作業などはメーカーの技術者が行うことが一般的ですが、商社が販売責任をもち窓口としてやり取りをするため、導入後にトラブルになるものは納入したくありません。商社としてはできるだけ“良いもの”を販売したいと思います。

"良いもの"とは…
ユーザーの課題を解決できるもの(機械)です。
要求した加工や仕様に対応していることはもちろん、操作性やトラブル時の対応面も非常に重要です。
一度購入すると数年は使用するため、事前打合せも含めた対応面が非常に重要となります。

 私も今まで様々な納入後のトラブルを経験して学んできました。高額な製品で一から作り直しというわけにもいかないため大きなトラブル時には正直”もうどこかへ消え去ってしまいたい”と思ったこともありました。そのような経験から実際にどのように選定すればよかったか、気をつけておくべきかを簡単にまとめてみました。

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機械仕様

食品工場で使われている機械の写真
食品工場で使われている機械の写真

要求仕様は満たしているか

 当たり前ですが最も重要なことは要求仕様を満たしているかです。
満たせるかわからない場合はテスト加工で確認してからの導入が必須です。メーカーにテスト機があれば一番良いですが、ない場合でも類似機で行う、別のユーザーに導入済みの機械で行ってもらうなどを検討すべきでしょう。

※ユーザーには要求仕様と優先順位の明確化が必要
 要求仕様を確認するためにはユーザー側の要求仕様と優先順位を明確化する必要があります。できる限り要求仕様書を作成して書面で明確に取り交わすことが重要です。さらにその中でもどの項目が必須項目なのかを伝えることでオーバースペックになることを防ぐことができます。要求を全て満たそうとすると高額になりがちですので、どうしても外せない部分を明確にして不要なものを削減することで価格低減にもつながります。

専用オプションへの対応が柔軟か

 ユーザー独自の特殊仕様に柔軟に対応してもらえるかも重要になります。カタログ品でしか販売せず柔軟には対応してもらえない場合、オプション費が高額になったり、後々追加したいとなった時に対応できないと言われることがあります。工作機械では購入後の仕様追加がほぼ必ずありますので、対応への柔軟性は重要です。

※特に安全基準は要チェック
 独自の安全基準や設備基準がある場合、それらに対応できるかを確認しておかなければ、製作後に依頼することになり高額な追加費用が発生する可能性があります。

安全第一の写真

独自技術があるか

 特許などの関係上どうしてもそのメーカーしかできないこともあります。その技術が必須であれば、そのメーカーを選定するしかありません。競合にも類似技術があるかもしれませんが、独自技術は価値があるからこそメーカーも大切にしている部分のため、類似技術では不足している場合も多いです。類似技術であってもテストなどで入念に確認する必要があります。

ユーザーに対して実績はあるか

 当たり前ですが、ユーザーにとって実績があるところとないところでは、あるところの方がユーザーの工場や特殊仕様にも慣れているためリスクが低いです。どうしても初めてのメーカー・機械であれば、できる限りの類似実績を確認して信頼できるかを確かめる必要があります。細かなところまではなかなか事前に確認することは難しいので、「思っていたのと違う」ということはよく起こります。そのためやはり一度ユーザーに実績があるところはお互いに相手を理解しているのでコミュニケーションによる誤差のリスクが低くなります。

作業者の操作性はどうか

 実際に使ってもらう作業者にも見てもらい、操作性に問題がないかも確認すべきです。操作性の部分は打合せだけではわかりづらく、メーカーによっても操作性を考慮した設計に関しては細かい部分で差があります。「価格と主な仕様だけを考えて発注したが、納入してみると作業者が使い辛く放置されている」ことや、「導入後に現場作業者から操作性の改善を要求されて、メーカーに依頼すると高額な追加費用が発生する」などのようなことも起こるので、早い段階で見てもらうことがベストです。

メンテナンス・サービス体制

機械のメンテナンスの写真
機械のメンテナンスの様子

メーカー側サービス体制

工作機械は止まると生産ができなくなるため、何か起きた時の対応体制は非常に重要です。
拠点が近いかどうか。(最低1~2時間の範囲には欲しい。)
・サービス員の人数は何人いるか。(近くの拠点にできれば複数、地域の拠点には3人以上)
・電話対応は何時までか。(24時間のところもあるが、17時で終わるメーカーもある)
・主要部品在庫はどのくらいあるか。(主軸やガイドなど長納期品も含めて。)
・サービスが別会社ではないか。(たまにサービスを外注委託をしているメーカーがありますが、同じ企業の方が対応が良い場合が多いです。)

機械のメンテナンス性

 見た目は良いけど、寄り付きが悪くメンテナンスがしにくい機械の場合、作業者もメンテナンスをしなくなり機械寿命も短くなってしまいます。
・各主要部品、機器類のはよく市場で売られている標準的なものか。
・メンテナンスが必要な部分への寄り付き性は高いか。
(例えば機内やクーラントタンクの掃除がしやすいか、フィルタを交換しやすいか、油を入れ替えやすいか、油漏れがあった場合でもオイルパンがあるか等)
・メンテナンス頻度はどの程度か。推奨点検表はあるか。

営業体制

営業との打合せ時の写真

メーカーの営業体制

 いくら機械は良くても対応が悪ければトラブルの元になりますので営業体制も侮れません。
具体的には次の項目を
・営業技術や設計などの技術者から提案があるか。(ユーザー側が言ったことだけではなく、メーカーとしてアドバイスをくれるか。)
・レスポンスが早いか、約束通りか。(見積等に時間がかかることは多いですが、期限等は守ってくれるかは大切です。)
・営業とアフターサービス窓口は同じ人か。(同じであれば、見積段階からアフターの責任持って提案してくれます。反面、緊急時には営業が忙しすぎて対応が遅くなる場合もあるためサービス部隊が専門で明確されているところの方が良い面も多いです。)
・人を動かしてくれそうか。(結局何か無理を聞いてもらう時や緊急時には人を動かしてもらう必要があります。営業にその権限が強そうな人かどうかは案外重要な項目です。)

ユーザーと購入元との関係性

 機械は一度購入してしまうとメーカーにも動いてもらわなければなりません。あってはならないのですが、何か起こった時にそっぽを向かれてしまってはユーザーが困ってしまいます。そのため商社も含めた購入元との関係性も重要になります。
・購入元(メーカーや商社)とユーザーは取引が多く信用できるか。
・購入元が商社の場合、メーカーとその商社も取引が多いか。

・メーカーの規模や取引先分布はどうか。(例えば大手自動車メーカーにつきっきりのメーカーの場合、緊急時にはそちらが優先される場合などもあります。)

まとめ

以上機械商社の経験から、価格だけではない機械選定基準をあげてみました。要求仕様を満たす会社が複数ある場合は何で選定したら良いか迷うことも多いと思います。何か機械メーカーを選定する際の参考になれれば幸いです。

チェックリスト

項目
☑︎要求仕様は満たしているか。テストは問題ないか。
☑︎専用オプションは柔軟に対応してくれるか。(特に安全基準)
☑︎独自技術があるか。
☑︎実績があるか。
☑︎操作性に問題はないか。
☑︎メーカー側サービス体制はどうか。(拠点の場所、人数、時間、在庫の有無、別会社ではないか)
☑︎機械のメンテ性はどうか。(部品の入手法、寄り付き性・メンテしやすさ、点検表)
☑︎メーカーの営業体制はどうか(提案、レスポンス、サービスと同じ人か、人を動かせるか)
☑︎ユーザーと購入元との関係性はどうか(ユーザーとの取引量、メーカーとの取引量、取引分布)
チェックリスト

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